テンプルこぼれ話

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プロボストとディーン(人の名前じゃありません)

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英日の翻訳をしていて、訳が難しい言葉はたくさんありますが、業務上けっこう困るのが「肩書き」。制度や仕組みが違うと、それをそのまま反映する肩書きには、ぴったりの訳が見つからないことがままあります。

以前企業にいたときは、米国本社の偉い人たちの肩書きに苦労しました。President=社長、Vice president=副社長だと思っていると、米国の大会社ではPresidentが複数、Vice Presidentにいたっては山のようにいてびっくりします。さらにその前にSeniorがついたりAssistantがついたりするとお手上げなので、あきらめて全部カタカナにしていました。また、経営と監督の区別でExecutive OfficersとDirectorsが明確に分かれていますが、これも昔は「取締役」でひとからげにしてたように記憶しています(そのうち日本でも「執行役員」という呼び名が一般的になりましたが)。

同じような悩みは大学にもあります。というか大学のほうが深刻かもしれません。

企業経営は、良くも悪くも(?)米国スタイルに接近してきてるところがあるので、翻訳問題も減っているかもしませんが、大学の仕組みは日本と米国では(まだ)かなりの違いがあるからです。以下、テンプルの場合です。

まず、大学にもPresidentはいます。うちでは「総長」と訳しています。テンプル全体の経営トップです。

ではProvost(プロボスト)およびDean(ディーン)とはなんぞや?

日本は学部と大学院の間でいわばヨコに区切られていますが、米国大学では分野によるタテ割り。つまり、School of Business(経営学)とかCollege of Education(教育学)という組織が、それぞれにUndergraduate program (≒学部課程)とGraduate program(≒大学院課程)を持っており(片方しかない場合もある)、それぞれのSchoolやCollegeのトップがDeanなわけです。

ということは、米国ではUniversityの中にさらにSchoolやCollegeがあるわけで、そもそもこれをなんと訳し分けるべきか?

日本のシステムに無理やり当てはめるなら、同じCollege of Educationでも、学部を言う場合は「教育学部」、大学院なら「教育学研究科」、などと使い分けることになりますが、そうなると、そのDeanは学部長か研究科長か??

また、ジャパンキャンパスにもローマキャンパスにもDeanがいます。これはひとつのキャンパスを束ねる「長」です。いわば「支社長」ですが、キャンパス長というのも変なので、テンプルジャパンでは「学長」と訳しています。

そして、たくさんいるこれらDeanたちを取りまとめるのがProvostです。大学全体では、学術部門担当のナンバー2ですが、これもなんとも訳しづらい言葉。ナンバー2の部分をわかりやすく「副総長」としてみたこともありますが、Senior Vice Provostなどという人が出てくると、かなり苦しくなります。

で、最後は、全部カタカナ。または英語のままにしておく。。。

このくらいの規模・形態で運営している外国大学日本校はうちだけですから、こんなことで真面目に悩んでいるのもうちだけでしょうね。日本の大学が外国で分校を作るときには、きっと逆の問題で悩まれるはずですが・・・

(中川)

プロボストとディーン(人の名前じゃありません)」への1件のフィードバック

  1. こんにちは

    昔々Temple Japanで約一年半(IELP)の学生としてお世話になりました。
    現在、米国防総称外国語学校で教鞭をとっていますが、こちらでもProvost,Dean, Department chair, team leaderといった肩書きを日本語に訳すと非常に分かりにくく、訳さずそのまま英語で書いた方が共通の理解を得られるように思います。Provost,Dean, Department chairを言い分けるアドバイス’があれば宜しくお願いします。

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