だいぶ時間があいてしまいましたが「シラバス考」シリーズの2回目です。
白いバスの夢は見なかったウェブマスターのほうの渡辺です。※第1回はこちら。
今回はアメリカでの「シラバス」についての認識をまとめてみたいと思います。
まず手始めにThe American Heritage Dictionaryでシラバス(syllabus)の定義を調べてみました。
「An outline or a summary of the main points of a text, lecture, or course of study (テキスト、講義、コースの主な要点のまとめ、または、アウトライン)」だそうです。シンプルですね。
では、アメリカの大学ではシラバスはどのように認識されているのでしょうか?
これに関しては、ノースウェスタン大学で教鞭を執りシラバスの作成経験もある苅谷剛彦氏の著書「アメリカの大学・ニッポンの大学 – TA・シラバス・授業評価」を大いに参考にさせていただきました。
僕は1994年にアメリカ西海岸のオレゴン州の大学に入学、その後、東海岸のマサチューセッツ州の大学への編入も経験しています。西・東海岸の2つの大学での経験と照らし合わせて、以下をまとめてみました。
a. 契約書
学生と教授(大学)の間で交わされる、講義内容や成績評価の基準を定める契約書。アメリカ出身の同僚にシラバスについて聞いた際も、開口一番「シラバスは契約書だよ」と言っていました。たしかに、アメリカの大学を卒業した僕もそう思います。アメリカの場合、履歴書に大学の成績(GPA)を書くのが普通ですし、そもそも学生の成績に対する意識や価値が高いのでしょう。そのため、成績に納得がいかない場合は教授や大学に抗議することも多いようです。その際の「基準」となるのが契約書としてのシラバスということのようです。
b. 詳細カタログ
消費者意識の強いアメリカの学生が高い授業料を払う価値があるかどうを見定めるための「商品カタログ」。個人的にはコースカタログを見て授業を選択していた記憶しかなく実体験を伴っていませんが、たしかにその通りだと思います。前述の「アメリカの大学・ニッポンの大学」に「消費者である学生にとって、シラバスは[...]どのような教育サービスを購入するかを判断する際の重要な選択基準となるのである。 (※1)」とありますが、その通りですよね。反対に、そういった情報なしに高額な授業料を払えるのが信じられません。
c. 外部評価の指標
大学のアクレディテーション(基準認定)の際に「実際にどのような教育が行われているのかを評価するためにシラバスが集められる(※2)」ので、シラバスは大学の評価に直接関係しています。どのような授業が教えられているかが分かるシラバスが「外部からの大学評価にかかわる重要な情報源の一つ(※2)」というのは納得行きますし、また、学生が他大学に編入する際の単位移行にもシラバスが必要になる場合が多いようです。比較的容易に編入が可能なアメリカの大学では必要不可欠なものだと思います。
総括
a と b は、契約社会・消費社会というアメリカらしい側面もあるのでしょうか。教育に関しても極力白黒をはっきりさせるアメリカ的な考え方が伺われ、あまり日本的ではないのかもしれません。とはいえ「入学は簡単だけど卒業するのは大変」とよく言われるアメリカの大学では、高額の授業料と多大な労力・時間を費やすわけですから、一つの講義を選ぶのにも真剣になって当然だと思います。そして、そうあるべきだと僕は思います。
成績評価にしても、悪評価を得た場合のその後の人生への影響が大きいことを考えると、やはり曖昧なものは避けたいと思って当然なのではないでしょうか?
あくまで学生側のみの視点ではありますが、調べれば調べるほど「大学にシラバスはあって当然」という認識が僕の中では高まっています。
さて、次回はシラバスの具体的な内容について、テンプル大学のシラバス作成のポリシーを基にまとめていきたいと思います。
参考資料:
「アメリカの大学・ニッポンの大学 – TA・シラバス・授業評価」 苅谷剛彦著
※1. p.134
※2. p.133
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